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日本ビオトープ協会誌「ビオトープ」 No.7


シリーズ  ビオトープテクノロジー −その7− 「静岡市中島下水処理場のビオトープ」  杉山和廣

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 さわやかな空気と温暖な気候に恵まれた静岡市は、安倍川や藁科川の清流に抱かれ南アルプスにいたる変化に富んだ山々には数多くの植物や生物が生息しています。
 そうした本市の、南部に位置し安倍川の河口に近い所に中島下水処理場があります。公共下水道は都市環境の整備、水質の保全、トイレの水洗化などの快適な環境を守る大事な役割をになっており、当処理場は本市に3ヵ所ある下水処理場のひとつで、昭和60年10月に供用開始され、現在は開始されてから13年経過しております。
 この下水道を少しでも多くの地域のみなさんに知ってもらい理解していただくのも普及活動の一環であり、このまま残っている自然を生かしたいとの思いから職員の手によるビオト−プ作りが開始されました。



1.ビオト−プ作りの経過

 平成3年11月に最初のトンボ池の造成を始め、平成6年6月に汚泥焼却から出る余熱を利用した温室作りを始めビオト−プに隣接してバラ園を作りました。
 同年8月に、静岡メダカ400 匹を池に入れ保護育成を目的に、飼育を始めました。そして平成7年3月には全体の遊歩道の設置を完了しました。同年6月からは、一般市民のの処理場開放を始め月曜日から金曜日までの平日は一般開放され毎日多くの市民のみなさんが訪れています。
 平成8年6月には、第2ビオト−プを造成しホタルの自生地として活用しています。その間第一ビオト−プは、多くの水生植物・湿性植物を植え、カブト虫の幼虫も例年2月下旬に200匹ほど入れ腐葉土の中で育てています。コナラ、クヌギの幼木も100本ほど植え、なるべく自然に近い形で生育し訪れた市民に喜ばれるよう努めております。
 ビオト−プの形態としては、四季折々の植物が咲き現在に至っておりますが、平成10年9月から隣接地に第3ビオト−プ作りを我々職員の手で開始しました。
 下水処理場の処理水をせせらぎ水路として名付け、一部取り込み有効利用し、なおかつ水生植物の持つ自浄作用を利用し処理しようとするビオト−プであります。水路を作りホテイアオイ、カヤツリグサなどの持つ自浄作用で窒素・リンを吸収し、その他水の浄化装置を設置し、活性炭やゼオライトを使って処理する試みであります。川の淵には、しょうぶの株を植え全体的にバランスのとれたビオト−プを作ろうとするものです。
 現在は、半分以上出来上がり平成11年度のホタル祭りに間に合うよう努力しています。見栄えは決して良くありませんが、三河砂、砂利の運搬や材料の調達まですべて手作りのビオト−プであります。



2.中島下水処理場ビオト−プの役割

 ビオト−プは小中学校でも環境教育の中で取り上げられ、小さな世代のうちから動植物に対し、やさしい愛情を持ち自然の中で環境を守り大事にすることが非常に重要だと思っています。
 基本的にビオト−プは、敷地面積が大きくても、小さくても、それぞれ地域の特色を生かし、昆虫や植物が自然に生息できる空間・場所を提供し、なるべく自然に近い形にするのが、本来の役目だと考えます。この考えに沿って当中島下水処理場は、3つのビオト−プを、それぞれの役目を持たせたビオト−プ作りをしております。

・第1ビオト- プ(敷地面積1,400 m2

 静岡メダカの保護育成と水生・湿性植物の育成。
 植物は、環境庁レッドデ−タブック絶滅危惧第2類のミズアオイやミクリ、春の七草や秋の七草であるミソソバ、ミソハギ、フジバカマその他ガマ、スイレン、セキショウ、ヒシワサビ、ドクダミ等など各種の植物があり、自然観察指導員のみなさんの協力をいただきながら、勉強をしております。

・第2ビオト−プ(敷地面積1,400 m2

 ゲンジボタルの自生地として専用のビオト−プ作りをしておりカワニナの飼育も手がけております。ゲンジボタルは水面にはり出した岩や樹木に集団産卵し、一匹のメスから約800 から1,000 個の黄色い卵を生みます。
 一ヵ月ぐらいで孵化し7月中旬から翌年の4月頃まで水中のカワニナを食べて育ちます。脱皮を5〜6回繰り返し、4月中旬の雨が降ってる夜に岸にはい上がり、土まゆを作ってサナギになり5月〜7月にかけて成虫になり、きれいな光を放ちます。
 孵化率は非常に低く数%なので、大変手間のかかる作業であります。

・第3ビオト−プ(敷地面積1,700 m2

 第3ビオト−プは、処理水の有効利用施設として水生植物の持つ自浄作用を利用し、水を浄化するビオト−プ施設であります。
 活性汚泥法で生物処理された、2次処理水を600〜700m2/D取り込み清浄な水に返すために、活性炭・ゼオライト・植物の持つ自浄作用などを利用して、処理する試みであります。試験段階ですので、これからもいろいろな取り組みをやって行きたいと考えております。
 これらの3つのビオト−プを合わせると、合計面積が約4,500m2になり、中島下水処理場全体の敷地面積が164,000m2ありますので、全体的にはそれほど大きくはありませんが、それぞれの特色を生かし、これからも多くの市民の皆さんに親しまれる下水処理場として維持管理に努めて行きたいと考えております。



3.中島下水処理場ビオト−プの行事

1)ホタル祭り

 平成2年度から開催され平成10年度で、9回を数えました。平成11年度も5月下旬頃を予定しております。
 下水道事業のPRと自然保護をテ−マに、今では多くの市民の皆さんに親しまれており、平成10年度のホタル祭りの入場者数は、6,369 人でした。


2)夏休み自然観察会

 平成9年度から開催し今年で3回目になります。これは水辺の動植物、自然とのふれあいをテ−マに親子で、自然観察指導員の先生と一緒にビオト−プ内で自然観察や植物観察するものです。メダカの生態や、セミ取り、バッタ取りもあり非常に人気が高い行事の一つです。


3)ミズアオイ特別鑑賞会と写生会

 貴重なミズアオイを多くの市民の皆さんに見ていただきたいと、普段一般開放していない日曜日又は祭日に特別開放するものです。
 併せて小中学校の生徒さんにも、写生をしていただく行事であります。
 このミズアオイは、環境庁の絶滅危惧第2類に指定されている貴重な花で高さは、20〜40cmの中型の1年草の水生植物で紫色のきれいな花です。早ければ8月中旬から9月下旬ごろまで咲きます。平成11年度も9月下旬の日曜日頃開く予定でおります。




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