このたび日本ビオトープ協会がNPOの法人格を取得されたことは、まことに時宜をえたことで喜びに耐えない。
これまでの10年間、たんなる任意団体としてよくがんばってきたものである。今後社会にたいして責任ある運動を展開してゆくために、法人格の取得は欠かせないものであろう。
本協会の発足当時、その名称を定めるに当たって、頭に「日本」の文字を用いることに関してためらいがあった。あまりに過大であるとの気分が支配的であったのである。ある幹部の「これでいこう」との一言によって日本ビオトープ協会となったのであるが、一同なんとなくおもはゆい気持ちであったものである。当時はそれほどささやかな組織であった。本協会がその後その名にふさわしい全国組織に発展したのは、長年会長を努められた秋山氏の活躍とその人脈の広さに負うものであり、その業績は余人をもってかえがたいものがある。私が現在理事長を努める自然環境復元協会の初期の発展も秋山氏の同様なご努力によるものである。あわせて同氏に対して厚く感謝申し上げたい。
さて本協会の今後についてであるが、任意団体と異なりNPO法人には明確な社会的存在意義が要求される。つまり社会の要請に沿った協会の事業方針を明確化させてゆくことが必要である。これまでの本協会の活動は、営利団体である各企業に対して情報を提供することが主たるものであったように思われる。つまり閉ざされた団体であったわけで、対社会的活動は必ずしも必要とはされなかったわけである。
しかしNPO法人となるとそういうわけにはいかない。社会一般に向けての有益な事業を行なっていかなければならない。ビオトープアドバイザーの資格認定を一般公開とすることは、いくつかの課題を解決しない限り困難であるが、それ以外にもやるべきことは多くあろう。国や県の行政にたいして要望、提案をしてゆくことはきわめて重要なことであろう。しかし、そのためには、確たる理念と協会としての統一見解をもつことが必要とされるであろう。この点で従来の協会のありかたには少々問題があると愚考するものである。ついでながら、もうひとつ心配されることは、本協会の会員のすべてが企業の関係者であり、企業は原則として営利を追及する団体であるということである。
NPO法人は特定非営利活動法人の略であり、活動は原則としてボランティアとされている。この矛盾はしかしながら乗り越えられないことではない。行政の施策にたいして有益な提案を積み重ねることによって、自然復元事業を活発化、大規模化させるという大枠を本協会が行なうことによって、業界全体の活性化が図られるからである。問題は、そのような迂遠な方法に会員のすべてが満足できるかということである。しかし、私はそのような方法以外に個々の企業が継続的に事業を発展させる道はないと思っている。要は、いざ発注があった際、第一に受注できるだけの専門的知識、技術を磨いておくことである。その研鑽の場としても、本協会は十分な役割を果たしてゆくべきであろう。
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