| ○はじめに
湖沼や河川の水際に発達する水生植物群落が、水域と陸域とを連続させ多様な生物を維持する上で重要な役割を果たしていることは、今日では一般的な認識となりつつある。以前は水田などで強害雑草として扱われてきた水生植物群落も、水質浄化機能や河岸や湖岸の保護機能などが重要視され、最近では水生植物群落を積極的に再生する事業が各地で行われるようになった。
我々エスペックミックでは、日本にある在来植物を利用して水辺の生態系を復元、創出してきた。闇雲に植物を導入するのではなく、植物の生態的特性や現場の諸元を十分に考慮に入れ、潜在的に存在する水辺環境を創出している。ここではベストマンシステムによる湖岸のヨシの復元実績を紹介したい。
○諏訪湖での事例
長野県のほぼ中央に位置する諏訪湖では自然の湖岸を復元する取り組みがなされている。諏訪湖のような大きな湖では湖岸に打ち寄せる波の影響が大きく、水際に水生植物を植栽する事は技術的に困難であり、失敗例も少なくない。植生繁茂限界の判別式とされるC値は、最近の研究により、C=4を境に、Cが4より小さいと植生が発達し、Cが4より大きいと植生が発達しないことが明らかになっている。諏訪湖の対象地ではC=7であったので、明らかに侵食性湖浜であった。
このような中ベストマンロール(BR-506)を湖岸の最前面に設置し、ヨシの苗(ベストマンルートボール BC06)を植え付けた。植栽した苗の大きさはわずか50cm足らずであったが、毎年生育を続け現在では高さ3.5mにまで成長しているのが確認された。植栽後、ベストマンロール設置していない場所にも確実に植物が繁茂拡大し、良好なヨシ群落を形成した。捨て石が消波の役割を果たし、植生ロールが基盤として安定的であった事などが初期活着を促し、結果的に群落を拡大する事ができたと思われる。

植生護岸の概略
施工から2ヶ月後(1997年5月):草高40cm以内
施工から3年後(2000年10月):草高350cm
ヨシ群落の存在により湖岸の景観が柔らかいものとなり、ヨシはまた波浪による湖岸の浸食を防止している。適切な植生を創出することは、修景効果や護岸機能のほかに、鳥類や魚類などの生物の生息空間を提供しており生態的にも重要な役割を果たしている。今後さらなる護岸の植生復元が望まれる。
引用:西嶌照毅・宇田高明・中辻崇浩(1998)琵琶湖における湖岸植生の繁茂限界について 海岸工学論文集Vol45 pp.1126-1130
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